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養老孟司著『京都の壁』

2017/08/06

養老先生のお父様は実は福井県大野市の出身。そんな縁もあって昨年、福井市にある ブータンミュージアム主催の講演会「これからの日本、これからの福井~豊かな森と動植物から考える~」で講師を
務め、その講演会の模様を当サイトとYouTubeで配信、日本語字幕制作からその英訳まで何か月も
取り組んでいたこともあり、私は養老先生に親近感を持つようになりました。
おかげさまで動画も既に1万8千回以上、視聴されています。
その動画はこちら
   ↓

 
養老先生というとまず思い浮かぶのが大ベストセラー『バカの壁』ですが、他にも大の虫好きとして
有名だったり、またブータンがお気に入りで何度も訪ねていたりするんです。でも今回はなぜに京都本?と思っていたら、今年の春まで「京都国際マンガミュージアム」の初代館長を長年に渡って務めていたんですね。(現在は名誉館長)

 

その養老先生が少なからず関心を寄せているのが「都市」というもので、都市としての京都を考えた時に、いちばん不思議なのは「城郭がない」ことなんだそうです。
本のタイトルは『京都の壁』ですが、いきなり壁のない話で意表を突かれました。
日本では城郭を造らなかったので、その代わりにできた結界が「心の壁」なんだそうです。

 

講演会でも出ていたブータンの犬の話がこの本の中にも登場して思わずにんまりとさせられます。
そして飼い猫の話が出てきたりすると猫好きの私はもうたまりません!
なぜって、養老先生宅のスコ猫「まる」、超かわいいんです♪ 写真集まで出てるんですから。
そしてそんな「まる」と一緒の養老先生もかわいい(笑)

 

【動画】「養老先生に甘えてモミモミ、まる。」

 
京都にはお金だけではない違う価値観があると先生は言います。学生や学問を大切にしたり、文化や
伝統を重んじたり。高いと言われる「京都の壁」も大学の先生や学生たちにとっては少し低くなっていて、だからこそ全国から学生が集まってくるのでしょうと。

 

遡って、京都に都が遷った理由というのは、おおよそ資源の問題だったそうです。
京都には地下水が豊富にあったという説もあり、平安時代があれだけ続いたということは京都を選んだことは相当賢い選択だったと。ただ、地下水があると夏は温まるとなかなか冷えないので蒸し暑いし、冬は水が冷えてしまうから底冷えがするんだとか。
京都は盆地だから夏暑くて冬は寒いと漠然と思っていましたが、地下水のせいもあったのですね。
ほんと、あの夏の京都の地面から湧き上がるような熱風といったら、蒸し暑い福井ともまったく違う
暑さなんですよね。

 

また高度に発達する街というのはパリとセーヌ川のように川を中心に栄えるそうです。
京都の鴨川はそれに匹敵すると。なるほど、セーヌ川のないパリは想像できないし、
鴨川のない京都なんて絶対ありえません。

 

「京都の雰囲気は京都に来てこそわかるもの。だから私を含めて人は京都に足を運ぶのでしょう。
たとえそこに見えない京都の壁があったとしても…」と養老先生も書いていますが、
そんな「見えない壁」があるからこそ、神秘性が生まれ、興味をそそられ、特有の文化が
培われるのかもしれませんね。

 

読み終わって、私も久しぶりに京都の街を歩きたくなってきました。
もう少し涼しくなった頃に…。(H.S)

 

養老孟司著『京都の壁』