水上勉を読んで京都を歩く
2020年06月24日
福井県出身の作家、水上勉は幼くして京都の相国寺境内にある瑞春院に修行に出されました。
こうした禅寺での経験から小説『雁の寺』や、同じ若狭出身の学僧による放火事件を題材にした『金閣炎上』や『五番町夕霧楼』が生まれました。
エッセイ『京の寺』では金閣寺の庭園について、日本人の美意識の結晶として美しさを称えています。舎利殿から茶室「夕佳亭」へとめぐる路は何度折り返し歩いても見飽きることのないお気に入りのコースでした。
金閣と悲恋を描いた小説の舞台となった五番町に花街の面影はあまり残っていませんが代表的な京都土産に主人公の名前がついています。
金閣が極楽浄土を目指した時代、鴨川の河原は餓死者が折り重なる地獄でした。
その時代に生きた『一休』と、
『京の川』のヒロイン、先斗町の静香に思いを馳せながら京都の一日が終わりました。