加茂神社の「オイケモノ」
2020年06月24日
今年(平成28年)2月23日、小浜市加茂の加茂神社で「オイケモノ」が行われました。火曜日ですが、この神事は旧暦の1月16日に行われると決まっているので日付は曜日に関係なく毎年変わります。タネモノ、物実(ものざね)などと呼ばれる木の実などを木箱に納めて土に埋め、一年後に掘り出してその発芽状態などから今年の農作物の作柄を占うという珍しい行事です(「オイケモノ」は「埋める物」という意味)。
7種類のタネモノの内容は、団栗(どんぐり)、椎(しい)、山芋の一種である野老(ところ)、栗、銀杏、榧(かや)の実、干し柿。古の昔に身近にあった貴重な食物ということなのでしょうか。ここには日本人の暮らしや信仰の原点のようなものを感じますが、それもそのはず、この行事の起源はなんと1000年前(平安時代)にさかのぼり、以来途切れることなく続いているのだそうです。
午前10時、社務所でこれらのオイケモノを「牛の舌」という名前の楕円形の餅と一緒に、埋納箱と呼ばれる木箱に納めるところから神事は始まります。
社務所を出た一行はまず本殿で参拝。今年の神事担当者による御幣振りが行われます。
本殿から上の宮への途中に行われる「弓打ち」。大蛇に見立てたむしろを的に矢を射ます。弓打ちは上の宮での参拝の後、もう一度行われます。
上の宮での参拝が終わると供えられたスルメなどで簡単な直会(なおらい)が行われ、続いて「百万石!」という掛け声とともに、集まった人たちに餅花(小さく切った餅)が撒かれました。
上の宮は神殿を持たない古い形式の神社で、石を積んだ囲みが神聖な結界を表しています。
神木の根元から一年前の埋納箱が掘り出されます。その後、新しい箱が同じ場所に埋められました。
判定口上役が社務所一杯に集まっている人たちに向かって力強く判定結果を伝えて、2時間に及んだ神事は終わります。ちなみに判定結果は「ことしも豊年豊作」でした。