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ビバ!コンビニ | 芥川賞受賞『コンビニ人間』村田沙耶香 

2017年04月18日

大学卒業後にコンビニのアルバイトを同じ店で18年間続けるというのは一体どんな人生なのだろう。
研修で一緒だった店員はもう誰もいない。店長は8人目。

 

きっと主人公の恵子は今日もコンビニに出勤し、そのコンビニで買った朝食をバックルームで食べて
朝礼を済ませ、元気よく客に挨拶しているのだ。
「いらっしゃいませ、おはようございます!」 
そしてこの瞬間がとても好きだと言う。自分の中に「朝」という時間が運ばれてくる感じが
するそうだ。恵子のモデルは筆者自身。芥川賞を受賞してからもコンビニでのバイトを続けている。

 

―コンビニで働いていると、そこで働いていることを見下されることが、よくある。興味深いので私は見下している人の顔を見るのが、わりと好きだった。あ、人間だという感じがするのだ。― 
このくだりを読んだ時は衝撃を受けた。
自分を見下している人の顔を見るのが好きだなんてどういう人なんだ。
そう言えば恵子は「怒り」という感情がほとんどないと言う。
作中でも人を批判していない。かといってすごくほめることもない。 

 

オープン前のコンビニは 「オフィスビルの一階が透明な水槽のようになって」― 
他にも唸らせる表現は多いが、一瞬で情景が浮かぶようなこの比喩は特に好きだ。

 

恵子は確かに「ふつう」の人間とは言えないかもしれない。でも「ふつう」ってそんなに
偉いことなのだろうか。皆もうそろそろ「ふつう」の呪縛から解かれてもいい気がする。
でもそんな恵子が、自分はコンビニのために存在しているのだと思うと意味のある生き物に思える
コンビニという居場所があって本当によかったなぁと思う。

 

かつて外国人に日本語を教えていた友人によると、あるアメリカ人の生徒がこう言っていたとか。
「日本のコンビニはまるで夢の国です。何でも売っていて、お金も下せるし、宅配便も送れる。そして本当の夢の国、ディズニーランドのチケットまで買える!アメリカのコンビニは大体ガソリンスタンドの隣にあって汚く薄暗くて、とても危険な場所なのに」

 

日本のコンビニと、そこで働く人たちに幸あれ。(H.S)

 

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