先日、NHK Eテレの「ドキュランドへようこそ」で放送されたイギリスのドキュメンタリー「睡眠不足の科学 眠れぬ夜の解消法」がとても面白かったのでご紹介したいと思います。
新型コロナウイルスが蔓延する今、免疫力を上げるためにはしっかり睡眠を取ることが必要だとは分かっていても、なかなか十分な睡眠を取れずにいる人は多いのではないのでしょうか。
そもそもなぜ睡眠が必要なのかと言うと、睡眠が足りないと免疫システムがダメージを受けてしまうからです。身体にも大きな負担をかけます。私たちは日中に受けたダメージを眠っている間に修復しているので、眠らないとダメージが翌日また翌日と積み重なってしまうのです。睡眠不足が健康を損なうのはそのためです。
番組では、人口の7割が不眠の問題を抱えるイギリスで、いつも熟睡しているという若者4人が48時間寝ないという実験に参加して、その間どういった変化が起こるかを調べました。
実験のために集まった若者たちとプレゼンター(左から3人目)、立ち会った医師(右端)
実験では、集中力や記憶力の低下、痛みへの抵抗力が減ることが判明します。実は、きちんと眠れていないと痛みを感じやすくなると言われています。脳内ホルモンのドーパミンには痛みを抑える作用もあるのですが、睡眠不足だと生成量が減ってしまうのです。
調査によれば、睡眠時間が7時間未満の人は、関節炎や腰痛などに悩まされる傾向が強くなっています。推奨される睡眠時間は1日8時間です。
また、不眠に悩む人も多く、ある男性は20年も不眠で苦しんでいます。そこで、オックスフォード大学の睡眠医学教授が彼の治療にあたり、2つの提案をしました。
この治療は「睡眠時間制限」と呼ばれる方法で、1つめの提案は、「いつもより少し遅くベッドに入り、いつもより少し早く起きて、ベッドにいる時間を圧縮して目が覚めている時間を締め出す」。
そして2つめは、「いつもより遅くベッドに入ったら、電気を消して横になったまま、少しだけ長く起きているようにする。目を閉じそうになっても、まだまだあと30秒という調子で、眠気にやんわりと逆らう」。
起きていようとすると、逆に眠りに落ちてしまうものらしいのです。そしてこの治療を受けた不眠に悩んでいた男性も、起きていようと頑張ったら、何といつのまにか寝てしまっていたそうです。
私もあまり寝つきがよくないので、この方法を試してみたら、いつもよりすんなりと寝られて、よく眠れている気がします。寝つきが悪くて悩んでいる方は、一度試してみてはいかがでしょうか。(H.S)