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世界のドキュメンタリー 「輪廻の少年」

2020年03月15日

映画

NHK BSとEテレで何度か放送され、とても心に残ったドキュメンタリー映画の紹介をしたいと思います。韓国のプロダクションが制作した「輪廻の少年」(2017)は、インド北部ラダック地方で、高僧の生まれ変わりとされる少年と身の回りの世話をする老僧のつつましい暮らし、そして二人がチベットを目指す旅を描いた映像美あふれる作品で、2017年バンフ山岳映画祭をはじめ、いくつもの映画祭で賞を受けました。

 

パドマ・アンドゥ少年はチベット仏教のリンポチェ(転生した高僧)とされる存在ではあるものの、中国のチベット政策のため前世を過ごしたという寺院との接触ができません。それでも世話役の僧侶ウルカイン・リグシンの強い勧めで、遠く離れたチベットを目指し、二か月以上にも及ぶ過酷で長い旅に出るのでした。

 

少年は前世でのチベット寺院の絵を詳細に描きます。チベット仏教圏に限らず、世界各地に前世を記憶していた子どもがいるという話を聞きますが、成長するとその記憶は薄れて無くなってしまうようです。

 

ところで、輪廻転生について、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所公式サイトにはこう書かれていました。
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チベット仏教の教えによれば、すべての生きとし生けるものは輪廻転生すると考えられている。輪廻転生とは、一時的に肉体は滅びても、魂は滅びることなく永遠に継続することである。我々のような一般人は、今度死んだら次も今と同じように人間に生まれ変わるとは限らない。我々が行ってきた行為の良し悪しによって、六道輪廻(神・人間・非神・地獄・餓鬼・畜生)のいずれかの世界に生まれ変わらなければならないのである。例えば現在、人間に生まれていても、次の生は昆虫・動物・鳥などの形に生まれ変わるかもしれない。しかし、悟りを開いた一部の菩薩は、次も人間に生まれ変わり、すべての生きとし生けるものの為に働き続けると信じられている。ダライ・ラマ法王もその一人である。ダライ・ラマ法王は観音菩薩の化身であり、チベットの人々を救済するために生まれ変わったとチベットの人々は信じている。
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アンドゥ少年の純粋で汚れのない、しかもしっかりとした言動には胸を打たれます。また、世話役リグシンの献身的な無償の愛にも、言葉にできない尊いものを感じました。最後の二人の別れの場面は涙なしでは見られなかったです。あの二人がいつか再会できることを願わずにはいられません。(H.S)

 


パドマ・アンドゥ少年
(画像はNHKオンラインより)

 

【映画予告編】