オイケモノ神事(その3) 自然体
2016年03月02日
この「上の宮」は社務所から200mほど山に入ったところにある古い社跡。山の神が宿る神聖な場所とされ、本殿に続いてここでもう一度参拝を行います。参拝が終わると周囲に集まった人々に「百万石!」のかけ声とともに餅花がまかれます。
上の宮での参拝後もう一度弓打ちの神事が行われると、人々は近くにある神木のもとに集まり、その根元に埋められた1年前の埋納箱を掘り出します。
このオイケモノ神事が行われるのは旧暦の1月16日と決まっているので、現在のカレンダーでは毎年日付が変わります。2月から3月にかけて年によってけっこう日付が変わるので驚きますが、それはともかく日付で決まっているので曜日は無関係なんですね。観光客の便宜をはかって近い日曜日にしようなんて軟弱なことはしません。で、今年は火曜日だったわけですが、平日の午前中にもかかわらず小学生くらいの子どもたちが大勢集まっています。この行事の時には学校から先生が生徒を連れて来るんだそうです。
子どもたちを含めていろいろな年代の人たちが集まっている様子を見ていると、これまでの1,000年と同じようにこうやって自然体でずっと継承されて行くんだなと思いました。当番の方から、この辺りの人たちにとっては一年で最も大事なお祭りというお話を伺いましたが、お祭りと言っても露店はおろかノボリの一本も立っていない地味さです。でも見せるためのショーアップとは無縁の風景に、神事というものの本来の姿を感じました。
T.S