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スタッフブログ

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映画「シェイプ・オブ・ウォーター」鑑賞

2018年03月15日

映画

先週発表された今年のアカデミー賞で見事作品賞に輝いた「シェイプ・オブ・ウォーター」
ちょうど福井でも上映中だったので早速見てきました。

 


(FOXサーチライト・ピクチャーズ 公式Facebookページより)

 

社会の片隅でひっそりと生きている弱者たちへのまなざしがとてもやさしい映画です。
主人公イライザの職場である政府の極秘研究所にある日運び込まれた、アマゾンの奥地で神のように
崇められていたという半魚人。イライザはその生き物と心を通わせるようになり、何とか助け出そうと
試みます。イライザは声が出せません。そしてそんな彼女を支える二人、ジャイルズとゼルダもそれぞれに悩みを抱えていました。

 

監督のギレルモ・デル・トロは日本の漫画や特撮物の大ファンで知られている人。この映画に出てくる半魚人もそのせいか体形がちょっとウルトラマンに似ています(笑)監督ご自身も何だかゆるキャラっぽくて愛嬌たっぷりですが、この半魚人もグロテスク過ぎず、微妙に可愛くて知性があるかと思えば、やはり生き物としての本能なども絶妙なバランスで描かれています。

 

アメリカの繁栄の象徴であるキャデラックの新車を台無しにするシーンはメキシコ人である彼の今の
アメリカへの批判を感じました。また悪の権化のような敵役、女性蔑視、残虐で差別発言満載のストリックランドへの手話での反撃も痛快なシーンです。設定は1962年ですが、セクハラといい政治的にも今の時代そっくりです。それにしてもなぜに半魚人?と不思議に思っていたら、実は監督は昔見た映画「大アマゾンの半魚人」の半魚人にシンパシーを感じてこの映画を作ったとか。半魚人にシンパシーを感じるなんていかにもデル・トロ監督らしいですね。

 

これは「人間の女性と半魚人との愛の物語」と書いたところで未見の方にはピンと来ないと思いますが、心と心が通い合うのは何も人間同士に限ったことではないのかもしれません。世界各地に異類婚姻譚がいくつも残っているように、日本の民話「鶴の恩返し」や福井にある夜叉が池の龍神伝説も思い出されたりして、アニミズム的な人間以外の自然や生き物への畏敬の念も感じた映画でした。(H.S)

 

映画「ボブという名の猫」鑑賞

2017年12月25日

映画

一年の締めくくりとなるこの時期にぴったりの、とっても素敵な映画と出合いました。
「ボブという名の猫」 は、ロンドンのストリートミュージシャン、ジェームズと野良猫ボブとの奇跡のような実話を元にした映画です。

 

主演のルーク・トレッダウェイの演技が自然ですごくいいです。 
薬物依存のため代替薬治療中というナイーブな役を演じながらも「この人は大丈夫!きっと更生できる」と安心して観ていられます。目がいいんですね。また「ダウントン・アビー」でアンナを演じていたジョアンヌ・フロガットが、今作でも厳しさと優しさを併せ持つ筋の通った女性を演じています。

 

そして何と言ってもボブ!
ボブの役はボブ本人(本猫?)が演じているんです。
それにしても何て賢くて可愛い猫なのか!もう本当にいい子なんです。
ジェームズが路上演奏する時も、ビッグイシューを売りに行く時も、そしていよいよ断薬となって苦しんでいる間もボブはいつもジェームズの側にいました。 

 

猫目線でのカメラワークも入って、岩合さんの「世界ネコ歩き」的な面白さもあり、
猫の生態もよく描かれています。特にボブがいなくなった間のジェームズの落ち込み方は
同じ経験をした人には(私も!)分かり過ぎるほど分かる描写でした。
そして最後には誰もがハッピーになれること間違いなしの映画です。
メトロ劇場では来年1月5日まで上映中。(H.S)

 

★2017年ナショナル・フィルム・アワーズUK【最優秀英国作品賞】受賞★

 

 


ビッグイシュー日本版の表紙を飾るボブ
スペシャル企画「ボブとジェームズ、東京へ行く」
ちなみにボブ初登場の 316 号はSOLD OUT!
そしてボブはロンドンの地下鉄の定期券も持っているんです。

 


映画上映期間は、GENでも以前、撮影取材させてもらった「福井犬・猫を救う会」の展示や募金箱も。

映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」鑑賞

2017年12月18日

映画

先日、福井市のメトロ劇場「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」
観てきました。

 

 

この映画は、米軍統治下の沖縄にあって唯一人、弾圧を恐れず米軍にNOと叫んだ沖縄のヒーロー
瀬長亀次郎を追ったドキュメンタリーです。沖縄好きを自負する私ですが、恥ずかしながら知りませんでした、こんなすごい人がいたことを。しかもネーネーズが「おしえてよ亀次郎」という曲にして
歌っていることも。

 

TBSテレビ報道局の佐古忠彦氏(53歳)の初監督作品でもあるこの映画は、元々テレビのドキュメンタリー番組として1年かけて制作し、昨年8月に放送したもの。その番組は夜中の関東ローカルにもかかわらず、大変な反響を呼んだことで佐古氏は映画化を決意、追加取材や再編集をして完成させたのです。
映画は沖縄での先行公開から異例のヒットを記録しています。作品の主旨に共感した坂本龍一がオリジナル楽曲を手がけ、大杉漣が語りで出演しているのも話題です。

 

【民族抑圧】
この言葉を目にして、日本のことを連想する人は決して多くはないでしょう。
しかし、終戦後アメリカの占領下となった沖縄ではまさしくこの言葉の通りの圧政が敷かれていたのです。映画に登場した元米海兵隊員で、沖縄返還交渉の実務にも携わった男性は涙をこらえながら苦渋の表情でこう語っていました。
「米国の恥ずべき歴史のひとつだ。米国政府は沖縄の民衆をただただ恐れていたんだ」
その占領下にあった1955年、嘉手納村で起きた幼女暴行殺人事件。
残虐な犯行で亡くなった、たった6歳の由美子ちゃんは、唇を噛みしめ、数本の草を握りしめて息絶えていたと言います。犯人の米兵の軍曹は軍法会議で死刑判決を受けたものの、結局は無期懲役に減刑。そして本土復帰後も繰り返される米軍関係者による事件や事故。つい先日の13日には、あろうことか
普天間にある小学校の校庭に米軍の大型輸送ヘリの窓が落下するという事故が起こってしまった
沖縄…。

 

映像の中で、亀次郎が国会議員となって国会で当時の佐藤栄作首相に、鋭くも実直に質問を突き付ける場面には胸が熱くなりました。佐藤首相の方も懸命に応じながらも当時の難しい状況も見て取れます。

 

佐古監督はこの映画について「保守革新を超越した沖縄の原点である亀次郎の姿を通して、今後の国の在り方を考えるきっかけにしてほしい」と話しています。
メトロ劇場では今月22日まで上映中。(H.S)

 


上映に先立ってメトロ劇場を訪れた監督の佐古忠彦氏
(11月24日付福井新聞より)

映画「ハクソー・リッジ」鑑賞 

2017年07月30日

映画

メル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」を観てきました。
タイトルの「ハクソー・リッジ」とは、のこぎりで切ったかのような断崖という意味で、
第二次世界大戦で最も激戦地だった沖縄県浦添城跡の一角にある前田高地のことです。
米軍をして「ありったけの地獄を集めた」と言わしめたほど凄惨な戦地となりました。

 

この映画の主人公は、実在した米軍の衛生兵デズモンド・ドス伍長。
映画は戦闘シーンを非常にリアルに描いていますが、もう一つの大きなテーマが信仰です。
映画の中で、聖書からの「殺人は最も重い罪である」という場面があります。
重い罪だから殺人はいけないことなんだというくだりには、ちょっと違和感を覚えましたが(これは
日本語字幕の訳し方のせいかもしれません)、ドスは「自分も国のために戦う。でも僕は人を殺すのではなく助けたい」という信念を貫きます。

 

また、軍に志願したきっかけは日本軍による真珠湾攻撃だったとも言っています。このシーンを見て、アメリカ国民にとって真珠湾攻撃がどれほどショッキングだったのかを改めて思い知らされました。

 

映画の中での戦争は当然ながら、あくまでも米軍目線。米戦艦からの絶え間ない艦砲射撃や火炎放射に怯える沖縄の住民たちについてはまったく触れられていません。「やつらは死を怖れない」と米軍を
おののかせた日本兵たちもとにかく不気味な存在でしかありませんでした。そしてやはり欧米的に
「ハラキリ」は外せないのか、牛島司令官を思わせる自決シーンでは唯一、日本兵がアップで描かれていました。

 

浦添市史によると、当時の浦添村では人口9,217人のうち約45%が死亡。前田地域だけでも549人が
犠牲となりました。この映画の公開に合わせて浦添市では関連したイベントが企画されています。また浦添城跡周辺を案内するNPOのガイドの一人によると、映画公開以来、ガイド利用者が増え、一日100人を超える日もあるとか。観光客も多く、米軍関係者もいるそうです。

 

映画終盤、何度も退却を余儀なくされた米軍が再び気勢を上げ、「よし、行くぞ!」と前田高地を
突進する場面は戦争の大義なき侵攻を目のあたりにしたようで「一体何のためにまだ進むのか。その先に何があるというのか。夥しい数の死者を生み出すことが正義とでも?」と私はやり切れない憤りに
駆られました。

 

2006年に87歳で亡くなったデズモンド・ドスは戦後二度、沖縄を訪れており、取材にも応じています。また、日本兵の傷の手当もしたというドスのために、彼の記念碑を建てようと沖縄では募金活動が始まったそうです。完成の暁には、「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)という言葉が今も受け継がれている沖縄で、平和を象徴する新たなモニュメントとなることでしょう。(H.S)

 


「ハクソー・リッジ」公式サイトより 

 


6月18日に開催された「前田高地の戦跡めぐり」から(浦添市HPより)

 

グーグルマップを見ると前田高地に「デズモンド・ドス・ポイント」という表示が出ます。

映画「帝一の國」鑑賞 

2017年06月04日

映画

すごく面白いという評判につられ、ついつい私も劇場へ。
映画は評判通りの面白さでとっても楽しませてもらいました。

 

出演者も皆イケメンというだけでなく、まったくぶれのない演技を見せてくれます。
まるでオスカルの再来のような間宮祥太朗、個性的な面々の中にあって一陣の爽やかな風のごとくの
竹内涼真、嫌な奴をおバカに徹して演じ切った野村周平、ドラマ「家売るオンナ」で個人的に注目していた千葉雄大はやはり頭角を現し、そうそう強烈な存在感の志尊淳も忘れちゃいけません。
菅田将暉くんに至ってはこれ以上ないハマり役でしょう。

 

それにしても4年前の朝ドラ「ごちそうさん」で杏ちゃんの、地味で真面目な長男を演じていた菅田
くんの今の姿を誰が予想したでしょうか。それに当時は誰も彼のことをイケメンだなんて言ってませんでした(笑)野村周平くんも朝ドラ「梅ちゃん先生」(2012) ではほんとに純朴だったっけ。そして
竹内涼真くんは今期の朝ドラ「ひよっこ」にもまもなく登場するとのことで楽しみです。「ひよっこ」は昭和三十年代からが舞台。涼真くんはすっきりした昭和顔なのですごく似合いそうですね。

 

帝一の父親役の吉田鋼太郎もあえて舞台並みの声の出し方で、この親子の掛け合いを見ていると自分
まで一緒に声を出してる気になって何だか全身がデトックスされたようなスッキリ感を味わえました。
和太鼓のシーンも見応えたっぷりだし、「マイム・マイム事変」は愉快。
台詞から発せられるメッセージを咀嚼する余裕も与えず、四の五の言わずとにかく楽しめ!と
スクリーンの中から畳み掛けてくるような映画でした。

 

クライマックスの生徒会長総選挙では、竹内涼真演じる大鷹弾のように、抜群に頭がよくて爽やかな
イケメンでまっすぐな人物が日本の総理大臣になったら...と思わず妄想。

 

監督は永井聡(あきら)(47歳)サントリーBOSSやカロリーメイトのCMなどを手掛けてきて、今作が長編映画3作目。前作は「世界から猫が消えたら」― この作品も見たいですね。(H.S) 

 


こういう表情は菅田くんの真骨頂(帝一の國 公式Twitterより)

 


「応援上映」も実施中 上映館はコチラ

 


5月17日に TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた応援上映 
応援上映の声援で一番人気だったのは弾(涼真)と森園(千葉)だったとか。やっぱり! 
(シネマトゥデイより)

映画「帝一の國」公式サイト

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