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映画「ジョーカー」鑑賞

2019年10月06日

映画

 

「ジョーカー」を見てきました。バットマンの宿敵ジョーカー役と言えば、「ダークナイト」でのヒース・レジャーがあまりに強烈でしたが、今作を見ると、ヒースの記憶が薄まるほど、ホアキン・フェニックスの魂からの演技に引き込まれます。紛れもなくジョーカーそのもののホアキンがスクリーンにいました。そして今回はその生い立ちと共に描かれるため、ジョーカーの人間味も否応なく感じざるを得ません。だからか、登場するブルース・ウェイン(バットマン)の子ども時代を見ても、やっぱり悪のカリスマ・ジョーカーの方に肩入れしてしまいます。

 

ホアキンのダンスシーンでは能のような美しさもあり、太極拳のようでもあり、前衛的なのですが、それがとにかく完璧でした。走る姿も絵になります。

 

終盤、パトカーに乗ったジョーカーがゴッサムシティを眺めるシーンに流れる曲は、クリームの「ホワイト・ルーム」。選曲のセンスも相まった、このシーンのスタイリッシュでカッコいいこと!これぞまさに映画の醍醐味。素晴らしかったです。往年のロックファンにとっても胸アツですね。その「ホワイト・ルーム」が暗示するラストシーンの演出にも唸らされます。そして、格差、貧困、弾圧、移民排除、児童虐待、パワハラがはびこる現代、見ている側にも重い問いを投げかけてくる映画でした。(H.S)

映画「ロケットマン」鑑賞

2019年08月25日

映画

エルトン・ジョンの伝記映画 「ロケットマン」を見てきました。

 

エルトンを演じているのはタロン・エガートン。歌も彼自身が歌っています。「キングスマン」で初めてタロンを見た時に「この子は化ける」と確信しましたが、やはり。それにしてもエルトン・ジョン役とは!彼のまっすぐでピュアな歌声が、エルトンの楽曲の良さをより際立たせています。「ユア・ソング」をピアノで作曲しながら歌うシーンはハンカチ必須。忘れていた感情を見ている側にも呼び起こしてくれました。

 

また、エルトンの相方とも言える作詞家のバーニーとの出会いも忘れられません。バーニーを演じている俳優が私の好きなロバート・カーライルに似ていて、この人は誰?と思ったら、何と「リトル・ダンサー」でビリー・エリオット役をやったジェイミー・ベル(当時14歳)だったのには本当に驚きました。エルトンとバーニーが初めて会った時の、二人がどんどん輝いていく様子や、長く続く信頼関係には心を打たれます。

 

エルトンの成功と苦悩、孤独、アルコール・薬物依存やセクシュアリティを見事演じ切ったタロンの才能を存分に堪能させてもらいました。特に、有名になったエルトンが、かつて家を出た実父を訪ねるシーンでのタロンの演技は素晴らしいの一言。もちろんエルトンの名曲の数々もたっぷり楽しめる至福の映画でした。(H.S)

 

映画「アルキメデスの大戦」鑑賞

2019年07月28日

映画

「永遠の0」や「海賊とよばれた男」で知られる山崎貴監督の新作 「アルキメデスの大戦」を見てきました。

 

主人公である天才数学者は架空の人物ですが、他の登場人物の多くは実在していました。数学者の彼にかかると、世の中に存在する物すべてが数式で表現できてしまいます。「数字は嘘をつかない」という絶対的真理、それが彼にとっての正義でもありました。

 

しかし、正義の解釈は人によって違うもの。会議の場面でも、「国を守る」という論点がどんどんずれて、あげく軍人同士のプライバシーをめぐる個人攻撃になってしまうところは思わず苦笑してしまいます。これって今の日本でもよくあることですよね。

 

舘ひろしさん演じる山本五十六司令長官が、ダンディでとにかくカッコいいです。山本五十六はこれまで三船敏郎さんや役所広司さんなど錚々たる俳優が演じていますが、舘ひろしさんも、山本五十六の知性や人間性、そして軍人としての底知れぬ業をとても丁寧に演じていると思いました。

 

 
映画終盤、平山造船中将が言った「日本人は負け方を知らない」「最後の一人になっても戦おうとするだろう」という言葉が、この映画でのキーワードかもしれません。世界最大級の戦艦、大和。日本人の最高の技術と美学で造り上げた悲劇の戦艦。1945年4月7日、大日本帝国海軍の象徴だった大和は米軍機の猛攻を受け、沈没します。

 

 
上映時間の2時間あまり、最初から最後まで息もつかせぬ展開です。それぞれの台詞も今の日本に対してのメッセージが込められている気がして心に刺さります。大和ミュージアムにも是非行ってみたくなりました。(H.S)

 

 

映画「新聞記者」鑑賞

2019年07月04日

映画


日本ではこれまでなかった気がする、現政権批判というスタンスの社会派映画 「新聞記者」 を見てきました。

 

映画の題材になっているのは、ジャーナリスト伊藤詩織さんの告発や加計学園問題で、まさにリアルタイムで日本の権力の闇を描いている問題作です。

 

映画の中で内閣情報調査室の官僚・杉原が言う「僕は国側の人間だ」という台詞を聞いた時は、国側って一体何なのだろう、それに国側と国民側ってそもそも敵なのか、と疑問に思ってしまいました。

 

吉岡記者の亡き父が残した「誰よりも自分を信じ、疑え」という言葉もとても含蓄があり、映画を見ながら、その意味することを自分なりに咀嚼していました。

 

吉岡記者を演じているのは韓国人女優のシム・ウンギョンさん。以前見た韓国ドラマでは、妹役がぴったりの明るい女の子といったイメージでしたが、すっかり落ち着いた大人の女性になった彼女の成長が何だかうれしかったです。官僚役の松坂桃李くんと対峙する静かなシーンも印象的で、映画を見終って主演女優が彼女でよかったと心から思えました。

 

この映画は個人の政治信条関係なく、優れた一本の映画として楽しめるし、平和ボケと言われて久しい日本人にとって、何でも報道を鵜呑みにして思考停止に陥ることが一番危険だと改めて気付かせてくれます。そしてどんな事実であれ、できる限り情報収集をして、まずは自分の頭で考えてみることが大切だとつくづく感じました。(H.S)

 

映画「グリーンブック」鑑賞

2019年03月07日

映画

本年度のアカデミー賞作品賞を受賞した映画 「グリーンブック」を見てきました。

 

映画の舞台は1962年のアメリカ。ナイトクラブで用心棒を務めていたイタリア系のトニーが、
ドクター・シャーリーという黒人ピアニストの運転手として採用されます。トニーの役目は、
差別の激しい米南部で演奏旅行をするドクターの安全を守りながら、ドクターが住んでいる
ニューヨークのカーネギーホールまで無事連れて帰ること。

 

映画の中で、ドクターが「暴力は敗北だ」と言うシーンがあります。当時のアメリカでは黒人のみならず、イタリア系、中華系の人々に対しても差別がありました。日本に住んでいるとリアルに想像するのは難しいですが、その凄まじいまでの差別を受け入れて生きるということは、一体どれほどの忍耐を人に強いるものなのでしょうか。それでもドクターは「暴力は敗北だ」と言い切りました。今の日本に
置き換えるとするなら、「いじめやDV、パワハラは敗北だ」とも言えるかもしれません。

 

ドクター・シャーリーを演じるマハーシャラ・アリが、エレガントで知的でとにかく素晴らしいです。ヴィゴ・モーテンセンも、粗野だけど憎めないトニーを見事に演じています。見終わると、あたたかい気持ちで胸がいっぱいになる、とっても素敵な映画でした。(H.S)

 


私の好きな1シーン
トニーが妻に書いている手紙をドクターが添削します

 


グリーンブックとは…
1936年から1966年まで毎年出版されていた、黒人が利用できる施設を記した旅行ガイドブック
こんな本が実在したこと自体がショッキング

 

今年のアカデミー賞では「作品賞」「脚本賞」「助演男優賞」を獲得

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